2018年、ドバイ最大の銀行であるエミレーツNBDは、トルコ第5位の民間銀行デニズバンクをロシアのズベルバンクから買収することで合意した。ズベルバンクは2012年に約35億ドルで同銀行を取得していたが、最大の海外資産を売却して本国市場へ回帰しつつあった。当初の価格は146億トルコリラで、発表時点で約32億ドルだった。この取引は政治的対立も越えるものだった。2017年の封鎖でアンカラがカタールを支持した後、トルコと湾岸諸国の関係は緊張しており、UAEの銀行によるトルコ事業の買収は商業的に注目に値するものとなった。

その後、2018年後半にトルコリラが暴落した。エミレーツNBDは取引を断念したり、旧来のドル価格を支払ったりするのではなく、再交渉に踏み切った。2019年5月に発表された新条件では、リラ建て価格は若干引き上げられて154.8億リラとなったが、ドル換算では約28億ドルに過ぎず、当初取引よりドル建てで約4億ドル安かった。取引は3か国すべての規制当局の承認を経て2019年7月に完了し、エミレーツNBDは749支店、約1万4000人の従業員を擁する銀行の99.85%を保有することとなった。

副会長のヘシャム・アブドゥラ・アル・カッシム氏はその論理をこう説明した。MENAT地域全体で相当な越境貿易が存在するが、真に汎地域的なプレゼンスを持つ銀行はごくわずかである、と。デニズバンクはそのプラットフォームとなった。エミレーツNBDが後に越境取引の手法を繰り返す際の基盤であり、2025〜26年のインドRBL銀行の過半数株式取得もその一環である。

749支店を持つトルコ上位5行の銀行を28億ドルで取得。2018年の価格より4億ドル低い。2026年上半期までにグループは税引前利益162億ディルハムの過去最高を計上した

売り手に動機があった。ズベルバンクは国際展開からの撤退を望み、資産をデニズバンクの資本プラス5%で価格設定した。現金を持つ買い手にとって、規律ある非競売方式の基準であった。

エミレーツNBDはリラ暴落を危機ではなく再交渉の機会と捉えた。2018年と2019年の条件の間で生じた4億ドルのドル建て節約は、統合費用の多くを賄った。

トルコはUAE単独では提供できないものを提供した。大きく若い、銀行サービス未充足の国内市場と、主要経済圏に広がる支店網である。

戦略的空白は現実のものだった。MENAT規模の貿易フローをカバーする銀行はほとんど存在せず、実績ある事業基盤は一から支店を築くよりも優れていた。

強制的な売り手と通貨暴落は買収の好機を生む。マクロ経済の混乱の中でも交渉を続ける銀行は、国の危機を恒久的なプラットフォームに変えることができる。

デニズバンクはトルコの激動の数年間、エミレーツNBDの傘下にとどまり、グループは成長を続けた。2026年上半期には税引前利益が前年同期比5%増の162億ディルハムと過去最高を報告し、総貸出金は7710億ディルハム、顧客預金は8920億ディルハム、RBL銀行の連結後のバランスシートは1.3兆ディルハムを超えた。デニズバンク自身の事業基盤はグループの国際業務の柱であり続けているが、トルコ事業はマクロ経済のストレス時に引当金の計上も必要とした。デニズバンクの取引は、同行の越境買収のひな形となった。

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出典

  1. Emirates NBD completes deal for Turkey's Denizbank The National · thenationalnews.com ·
  2. Emirates NBD saves $400M on Turkish bank after lira slide Associated Press (via Yahoo Finance) · sg.finance.yahoo.com ·
  3. Emirates NBD H1 pre-tax profit rises 5% to record Dh16.2 billion Gulf News · gulfnews.com