2026年10月1日にFortuneのAIQ Summitで登壇し、またFortuneのインタビューに応じたBooking HoldingsのCFOエワウト・ステーンベルゲン氏は、同社のAI導入最初の2年間は実験の段階であり、次の段階はプロセスを「白紙から」再構築することだと述べた。最初に着手したのはカスタマーサービスだった。

同氏が語った成果は社内の自己申告によるものである。予約数は高い1桁台の伸び率で増加する一方、カスタマーサービスコストはわずかに減少しており、その結果、予約あたりコストは「大幅に」低下し、同時に顧客満足度も上昇しているという。

エンジニアリング部門では、Bookingの約9,000人のエンジニアが本番環境に投入するコードを約30%増やしている。これはテストと品質管理を通過したマージリクエストのみを数えたものだ。AI支出を抑えるため、Bookingは同氏が「効果的なモデルコストルーティング」と呼ぶ仕組みを採用している。すなわち、基本モデルやオープンソースモデルが単純なタスクを処理し、高コストなモデルが複雑なタスクを担う。またエンジニアリングチームは、人件費とAIトークン費用を合算したマージリクエストあたりの総ITコストで評価される。

顧客向けの側面はまだ小さいと同氏は注意を促した。第2四半期の決算説明会時点で、LLM経由の紹介は客室稼働泊数の1%未満であり、Bookingは年間80〜90億ドルを有料チャネルに費やして顧客の約3分の1を獲得している一方、自社のAIツールによる成果は予約の迅速化、コンバージョンのわずかな向上、キャンセルの減少など控えめなものにとどまっている。同氏が挙げた第2四半期の数値は次のとおり。Booking.comのConnected Trip取引は低い2桁台で成長し、マーチャント予約は総予約額の約73%に達し、Geniusレベル2および3の会員がアクティブ顧客の30%超を占めた。

9,000人のエンジニア全体で本番投入コードが30%増加。予約数が高い1桁台で増加する一方、予約あたりのサービスコストが「大幅に」低下(自己申告)

カスタマーサービスを最初に着手したのは、それが最も明確なエンドツーエンドの再設計であり、測定可能なコスト削減と満足度向上をもたらしたためだ。

エンジニアリングのスループットは、テストと品質管理を通過したマージリクエストのみで数えられているため、30%の向上は生のアウトプットではなく品質を条件としたものだ。

コストルーティングにより、トークン支出が価値を上回らないようにしている。チームは人件費とAI費用を合わせたマージリクエストあたりの総ITコストで評価される。

顧客向けのAIは依然として小規模であり、LLM経由の紹介は客室稼働泊数の1%未満であるため、今日の支出を正当化しているのは社内プロセスの改善である。

実験は安価な段階にすぎず、リターンが得られるのはプロセスをエンドツーエンドで再構築したときであり、しかもトークンを他の単位コストと同様に計測している場合に限られる。

ステーンベルゲン氏は投資家に対し、AIは旅行計画を容易にし、マーケティングを安価にすると語る一方で、ホテル、航空会社、レンタカーは変わらないと主張した。より大きな機会は、取引型プラットフォームを、混乱時の先回り的な旅行管理を通じてより高頻度のプラットフォームへと転換することにあるという。同氏はまた、自身が2つのAIエージェントを使い分けていることを明かした。取締役会資料向けの「戦略的思考パートナー」と、決算説明会の準備向けの「批判的エクイティリサーチエージェント」である。そして社内で自身の「AIコーチ」について率直に語っている。すべての数値は、インタビューとBookingの2026年第2四半期決算説明会におけるCFO自身の発言によるものである。

出典をたどる

出典

  1. Booking Holdings CFO says even AI hyperscalers don't know their ROI — but he's learning from his 'AI coach' Fortune · fortune.com ·