リプトンミルクティーは1989年から日本の冷蔵棚の定番であり、安価なミルクティーとして、また学生の定番飲料として愛されてきた。しかし乳飲料以外の紙パック飲料市場は少子化とともに縮小し、2020年以降はCOVIDによって通勤・通学・部活動が減り販売が打撃を受けた。森永乳業は34年ぶりの大規模刷新として、2022年3月28日にこの飲料を終売し、翌日リプトンロイヤルミルクティーを発売した。茶葉を5%増やし、乳固形分を少なくとも1.5倍にし、より「大人向け」の味わいにするとともに、棚区分を茶系飲料から乳飲料へと変更した。

当初の売れ行きは持ちこたえ、新商品の初期販売は前年並みかそれを上回った。しかし同社のお客様相談室には、これまでにないペースで意見が殺到した。史上最多となる667件の接触があり、最も多い日には40件を超え、「元の味に戻してほしい」「もう買うのをやめた」という声が寄せられた(「刷新は不要」と書いたのは30代男性の293番の意見)。森永はロイヤルを維持してPRで押す案と、調査回答やリピート購入数を比較する案を検討したが、発売から約6か月後にロイヤルを撤回しリプトンミルクティーを復活させることを決めた。終売から1年以内のことであった。

意思決定に関わった両名はいずれも判断の難しさを語っている。刷新には実際に開発の労力が費やされており、マーケティングの柴田珠美氏は開発陣がロイヤルを存続させたかったのではないかと推測している。復活が恋愛アニメのキャンペーンで宣伝されたことを見出しに記した日経クロストレンドのケーススタディは、この撤回を企業がお客様相談室の声に耳を傾けている証拠として提示している。記事には復活後の販売数値は記載されていない。

ロイヤルの初期販売は前年並みだったが、史上最多となる667件の意見(ピーク日には40件超)により、1989年から続くオリジナルが1年以内に復活した。

中核顧客は縮小していた。乳飲料以外の紙パック飲料市場は少子化とともに縮小し、2020年以降はCOVIDによって販売を支えてきた通勤・通学・部活動の習慣が減った。

森永は、より大きくよりプレミアムな「大人向け」の処方変更によって、学生の固定客以外にも訴求範囲を広げられると期待した。これは同ライン34年で最大の刷新であり、発売前の味覚調査で裏付けられていた。

しかし相談室の声は違った。史上最多の667件の意見が寄せられ、多い日には40件を超え、購入をやめたという声もあった。刷新は、固定客が実際に買っていたものを壊してしまったのである。

経営陣は調査結果とリピート率データをロイヤルのPR推進策と比較し、リピート購入者の喪失の方が大きなリスクだと判断し、約6か月で撤回した。

味覚パネルは、固定客が依然として拒否する処方変更を承認してしまうことがある。フィードバック経路が記録的な量で反応したら、それをデータとして扱い、離れた顧客が戻ってくるうちに早めに撤回すべきである。

ロイヤルミルクティーは終売され、オリジナルのリプトンミルクティーがその廃止から1年以内に復活した。記事はこの決定を速さの点で異例だと評している。日経の見出しによれば、復活は恋愛アニメのキャンペーンで宣伝された。記事の有料部分ではキャンペーンの詳細や復活後の販売数値は示されていない。667件の意見の波は、同社史上最多のお客様の声として残っている。

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出典

  1. 森永リプトン刷新で史上最多「ご意見」 恋愛アニメで復活PRの真意 Nikkei Xtrend (日経クロストレンド) · xtrend.nikkei.com ·