1872年創業の資生堂は日本の美容の王者だったが、2010年代までに漂流していた。国内で競合するブランドが多すぎ、シェアは低下し、真のグローバルエンジンがなかった。2013年度は連結純損失146億円に終わり、現代史に前例のない異常事態だった。2013年12月、同社は社長を交代させる外部人材を発表した。141年ぶりのことだった。

魚谷雅彦氏は10年間、コカ・コーラジャパンの社長兼会長を務め、ジョージアコーヒーや爽健美茶などのヒットを生み出した。2014年4月から資生堂の16代目社長として、逆張りの策を実行した。業績が遅れている間もマーケティング投資を増やし、プレステージラインとグローバル市場に資源を集中し、地域別本社を置くブランド×地域のマトリクスへ再編し、2017年までに本社の作業言語を英語にした。

その賭けは実を結んだ。2019年度に売上は初めて1兆円を超え、1兆1,315億円となった。営業利益は過去最高の1,138億円だった。その後、魚谷氏は日用のパーソナルケアブランド(TSUBAKIなど)を売却し、グループをプレステージに集中させた。10年の指揮の後、2024年末に退任した。

2019年に売上が初めて1兆円を超え(1兆1,315億円)、営業利益は過去最高の1,138億円を記録した。そしてグループはプレステージに集中するため日用ブランドを手放した

逆張りのマーケティングが奏功したのは、美容需要が持続的だったからだ。利益を守るために広告費を削れば、再生に必要なまさにそのブランド群を飢えさせることになっただろう。

プレステージとグローバルに集中したことで、資生堂が真の資産を持つ分野に投資を集約できた。互いに競合する数十の国内ブランドに分散させるのではなく。

外部人材であったことが重要だった。社内で経歴を積んだ者ではないため旧ポートフォリオへの忠誠心がなく、日用ブランドの売却や再編は数年ではなく数か月で決まった。

成熟した国家的チャンピオンは、不況の年にもマーケティングを削ることを拒み、自らの資産が最も強い分野に集中することで回復できる。たとえ自らが育てたブランドを売却することになっても

新型コロナは2020年に資生堂に8年ぶりの損失をもたらした。その後の中国減速と2019年のドランクエレファント買収に関する減損処理により、2025年は過去最大の損失見込みへと向かった。魚谷氏の10年の最高到達点、すなわち1兆円の売上と過去最高の利益は、改革の証明として残っている。

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出典

  1. 執行役員社長の異動に関するお知らせ 資生堂 IR (corporate announcement) · corp.shiseido.com ·
  2. 資生堂|外部プロ経営者・魚谷雅彦氏の招聘と「VISION 2020」(2014年) The社史 · the-shashi.com ·
  3. 〈過去最大赤字〉資生堂"10年の魚谷劇場"静かな幕引き━━海外ブランド買収に失敗、「TSUBAKI」日用品事業を売却、魚谷改革とは何だったのか 東洋経済オンライン · toyokeizai.net ·